招待
招待 コンコン、と扉がノックされ、昼間は少し外出したものの午後からはひとり、部屋で休んでいた飛雄馬は寝転んでいたベッドから体を起こすと、はい、と返事をした。
すると、扉越しに、星、お前に客だぞと聞き慣れた声で応答があり、飛雄馬は客?と首を捻ったものの、腰を上げ、最低限の身支度を整えると、玄関先で待っているのであろう客の元へと向かう。
わざわざ宿舎まで訪ねて来るだなんてとうちゃんではなかろうし、ねえちゃん、はたまた伴のやつだろうか。
来る前に電話の1本でもくれていたら準備をして待っていたのに、と、そんなことを思いつつ、訪れた宿舎の出入り口に佇んでいた男の姿に飛雄馬は驚きのあまり目を見開いた。
「おう。星、義兄さん自らお迎えとはお前も大層な身分になったもんだな」
寮長がワハハ、と大柄の体を揺らし笑い声を上げる。彼が義兄さんと呼んだ男こそ、今や飛雄馬と義理の兄弟の関係にあるかつてのライバル・花形満、その人であった。
野球界から身を引き、今や青年実業家となった花形であったが、やはり現役時代の活躍というものは未だに語り継がれ、球界関連の取材の申込みが今なお、花形コンツェルン宛に届くというのだから恐ろしい。
まさかの男の出現に飛雄馬は固まったままであり、花形は彼の緊張を解すためかニコリと微笑むと、突然に訪ねてすまないねと謝罪の言葉を口にした。
「…………いや、大丈夫だ」
「今日は義兄さんの家で夕飯をご馳走になる約束だったそうじゃないか!お前が約束を忘れるなんて珍しい!」
寮長の発言に飛雄馬は目を細め、花形を見遣る。
そんな約束など取り付けた覚えがまるでないからだ。
花形がその口の上手さで寮長を丸め込んだに違いないことは火を見るより明らかであった。
なんと恐ろしい男なのかと飛雄馬は花形に対し、そんな印象を抱く。
出会ったときから得体の知れぬ男だとは思っていたし、ねえちゃんとの距離を詰め始めたときも何を考えているのだろうと思っていた。
今でも、この男のことはよく、わからない。
「フフ、そういうことなので、武宮寮長、飛雄馬くんを少しお借りできればと思います」
「いや、おれは……」
「星!せっかく迎えに来てくれたんだ。ちょっくら顔を見せに行ってやれ!姉さんもお前に会うのを楽しみにしているそうじゃないか」
明子のことを話題に出され、飛雄馬はぐっと言葉を飲み込む。
姉のことを言われるとどうにも弱い。
幼い頃から早くに亡くなったかあちゃんに代わって身の回りのことを始め何でもその細腕で賄ってくれたねえちゃん。
おれととうちゃんの見果てぬ、壮大な夢のために自分の身を犠牲にしてくれたねえちゃん。
飛雄馬は一瞬の間ののち、あまり遅くはならないようにしますと言うなり、靴を履き、花形の後に続き宿舎の外へと出た。
玄関を出てすぐのところに花形は自分で運転してきたらしき高級外車を着けており、飛雄馬のために後部座席のドアを開けてやった。
「…………なぜ、嘘を?」
乗り込むなり、ドアを閉めてくれた花形に飛雄馬は問いかける。
運転席のドアから座席に腰を下ろした花形は、バックミラー越しに飛雄馬を瞳に映しつつ、嘘とは人聞きの悪い、と笑い声を交えながら言葉を紡いだ。
悪びれる様子など微塵もない花形の態度に飛雄馬がムッとしたところで、車は走り出す。
「きみが復帰してからというもの、長島巨人軍も好調のようだね」
ハンドルを握り、巧みにギアを操作しつつ花形が話を振る。
「……おれだけじゃない、チーム皆さんの力あってこそだ」
「フフ、実に飛雄馬くんらしい解答だ。それはもちろん言うまでもないことだろうが、きみの力も大きいとぼくは思うがね」
「それは、買い被り過ぎだ」
ふっ、と飛雄馬は笑みを浮かべ、窓の外へと視線を遣った。
ここ数年で、道を行く車の台数も増えたなと飛雄馬は思う。
時代は移り変わりゆくもので、それが自然の摂理であると言ってしまえばそうなのだが、人間は何故今ある幸せで満足できない生き物なのだろうか、とそんな哲学的なことまで考えてしまい、再び苦笑する。
「今が、楽しいかね」
飛雄馬は窓の外に向けていた目を花形の顔の映るバックミラーに戻し、えっ?と上ずった声を上げた。
「ぼくはまったく楽しくない。何をしていてもつまらんのだよ。生きている心地がしない。過去にしがみつくのは好きではないが、きみと野球をしていた頃が一番楽しかったし幸せだった。生きているという実感があの時代にはあった」
「……何が、言いたい?」
「きみの生きた球を打ちたい。野球がしたい」
花形の言葉に、今は球を投げることの叶わぬ飛雄馬の左腕が疼く。
「ねえちゃんが、納得しないだろう」
「飛雄馬くんがそれを言うかね。明子の人生を半ば犠牲にしながら野球を続けてきたきみが」
「っ…………」
ぎゅっ、と飛雄馬は自身の左腕を掴み、奥歯を噛む。
「……冗談さ、忘れてくれたまえ。父の会社を引き継ぎながら、さらに大きく事業を展開、発展させていくのもそれなりに楽しいさ」
「冗談には、聞こえなかったが」
飛雄馬は左腕を握る指に力を込め、低い声でそう呟く。
「…………」
それきり、花形は口を利かず、目的地である等々力の自宅まで無言のまま車を走らせた。
彼は一体、何を始めようとしているのか?と飛雄馬は静かな車内の中で考え込む。
この人が口にする言葉のどれが本心で、何が嘘なのか、自分には読めない。
5年の間に、色々と変化があったようにも見受けられたが、それは事実なのだろうか。
実は、何ら変わってなどいないのではなかろうか。
「飛雄馬くん?」
いつの間にか車は花形の屋敷に到着しており、一足早く車外へと出た彼が飛雄馬の座る側のドアを開け、訝しげに首を傾げながら名前を呼んだ。
その声で我に返った飛雄馬はハッ!と俯けていた顔を上げ、すまないと謝罪の言葉を口にしながら車から降りた。
背後で、車のドアロックをした音を聞きながら、それにしても、夫婦ふたりで住むには大きすぎる屋敷だと飛雄馬は今更ながら目の前にそびえ立つ花形邸を仰ぎ見る。
いずれ家族が増えたときのことを考えてのことなのかもしれんが、金持ちの考えることはよく分からん、と飛雄馬は先を歩き出した花形の後をついて行きながら彼の屋敷へと足を踏み入れた。
しかして、いつもなら出迎えてくれるであろう姉の姿もなく、がらんとした奥行きある広々とした部屋がそこには広がっており、飛雄馬はえっ?と眉をひそめたが、花形から、買い物に出ているとの返答があって、そうかとひとり納得する。
いつ来ても見事な調度品があちらこちらに飾られ、飛雄馬はここを歩くのも恐ろしいぐらいであった。
まあ、かけたまえと通された客間のやたらと柔らかなソファーに腰を下ろし、飛雄馬はちらと手首にはめた腕時計に視線を遣る。
門限まではまだだいぶ時間がある。
夕飯を食べて帰るくらいなら十分間に合うだろう。
そう思って上げた顔、その目と鼻の先に花形の顔があって飛雄馬はぎょっと身を引く。
あまりの顔の近さに飛雄馬は思わず目を逸らし、じわりとその背に汗をかく。
どうにも昔から、この男の瞳に射抜かれるのは苦手であった。
花形の唇が笑みを浮かべ、不敵に釣り上がるとき、必ず地獄を見てきたゆえだ。
「…………」
花形が顔を僅かに傾けるようにして距離を詰めてくる。
あっ、と思わず飛雄馬の口から拒絶とも驚きのそれとも取れる声が漏れたところに花形はすっ、と自分の唇を押し当てた。
振り払おうと動かしかけた飛雄馬の左手を花形は握り、わざとらしくリップ音を立て唇を啄む。
その音があまりに卑猥に辺りに響いて、飛雄馬はかあっと頬を染めた。
「もしかして初めてかね」
「そんな、こと、花形さんに関係、ないだろう」
「……へえ。フフ、それじゃあ、ぼくが初めてか、飛雄馬くんの」
その言葉に飛雄馬の体温が急上昇する。
図星でもあったし、かつて球場で互いに死闘を繰り広げた相手と、こんな行為をすることになるなんて考えもしなかったからだ。
「こう、いうのは、よく、ないと思う」
「よくない?何に対して、そう思う?」
「ねえちゃん、にも、その、いろ、いろと」
体温が上がったせいか、飛雄馬の頭はぼうっと霞がかかったようになっている。
花形は顔を背けた飛雄馬の耳へと口付け、そこに舌を這わせた。
ぬるりとした温かな感触が熱い耳を撫で、その薄い皮膚を唇で挟んだ。
「っ、う……!」
「静かにしないと明子たちに感づかれてしまうよ」
力の抜けた飛雄馬の体をソファーの座面の上に組み敷き、花形は彼の首筋へと顔を埋める。
「あ、あっ」
ちゅうっと音を立て、白い首筋に吸い付きつつ、花形は飛雄馬の穿くスラックスのベルトを緩めた。
時折、ビクンと体を反らすと、花形がフフッと笑みを溢すのが癪で、飛雄馬は奥歯を噛み締める。
花形は緩めたスラックスの中から飛雄馬の着ているシャツの裾を取り出すと、そこから手を差し入れ、腹を指でなぞった。
ぞくっ、と飛雄馬の肌が粟立ち、漏れる吐息にも熱が籠もる。
「くすぐった……っ、ん、ん」
そろりと鍛え上げられた腹を撫で、皮膚の乗った肋骨の上を滑った指は皮膚の胸へと触れた。
くすぐったいような、妙な甘い痺れが触れられたそこから全身に走り、飛雄馬は声を上げる。
焦らすように花形は突起には触れようとせず、その周りを指でなぞっていく。
突起はその刺激と期待に戦慄き、ぷくりと膨らみを増す。
と、花形はそれを指で優しく抓み上げ、固くしこった突起を指の腹同士で捏ね合わせた。
「ひっ、ぐ………っ、う……!」
先程とは比べ物にならないほどの強い電気のようなものが脳天を突き抜け、飛雄馬は情けなく喘いだ。
勃起したその突起を花形は捏ね、押しつぶしながら飛雄馬を絶頂へと導いていく。
そうして花形は飛雄馬のシャツをたくし上げてから、弄ぶのとは逆の乳首へと吸い付き、強くそこを吸い上げながらその表面を舌でまさぐった。
「あ、あっ!あ──っ!」
ちろちろと舌先でそこを弄りつつ、花形は空いた手を飛雄馬のスラックスの中へと潜らせる。
既にその中も出来上がりつつあり、花形の手には下着を持ち上げる先走りに濡れた男根が触れた。
「ずいぶんご無沙汰だった……いや、飛雄馬くんはひとりの経験はあるかい?」
「ひと、り?」
乳首から口を離した花形が問う。
質問の意味がわからず、涙の浮いた瞳をこちらに向けてきた飛雄馬のやや立ち上がりつつある男根を握ると、下着の上からくりくりと先走りの染みのついた亀頭の鈴口を花形は指で撫でた。
「ここを、自分で慰めた経験はあるのかね」
「自分っ、で……?どう、っん……やっ、あ、うぅっ」
「……いじめがいがあるな、飛雄馬くんは、つくづく」
乳首を嬲っていた顔を上げ、花形は飛雄馬の唇を啄むと、下着の中に手を入れ、直に彼の男根を握ると、それを上下にゆっくりと擦り始める。
「うぁ、あ、あっ!あっ、だめ、だめだっ、だめ、えっ」
「ふふ、腰が揺れているじゃないか……」
「こんな、のっ……こんら、の」
先走りを手指に纏わせ、花形は飛雄馬の男根をしごいた。ちゅく、ちゅくと次第に水音が混じり始め、その速さも段々と速度を増していく。
「なっ……か、くる、くるっ……へんっ、はらのおく、へん」
「…………」
喘ぎ、手を離すように嘆願する飛雄馬の願いなど聞き入れることなく、花形は彼に絶頂による射精を迎えさせた。
「あっ、ああ……!あ、っ……ん」
全身を戦慄かせ、飛雄馬は白濁の液体を自分の腹の上に撒き散らす。
ヒクヒクと射精をしながらも全身をひくつかせ、飛雄馬は目元を腕で隠しながら口で呼吸をする。
「存分に、体が出来上がったところで次にいこうじゃないか飛雄馬くん」
「つぎ……?」
尋ねた飛雄馬の両足から花形はスラックスと下着とを剥ぎ取り、彼を下半身裸の姿にさせた。
そうして、その両足をそれぞれ左右に開かせてから、出来た足の間のスペースに花形は身を置くと、何やらジャケットのポケットから容器を取り出す。
蓋を回し開け、花形は中身を指に取ると、指で優しく捏ね、柔らかくしてからあろうことか飛雄馬の尻へとそれを塗りつけてきたのだ。
ぬるっ、としたものが尻に触れ、飛雄馬はひっ!と小さく呻いて、花形の顔を仰いだ。
緊張を解すかのように入り口を撫でさすり、花形はゆっくりと指を飛雄馬の中へと挿入する。
「あ、っ…………!」
花形の奥へと突き進む指を締め付け、飛雄馬は眉間に深い皺を刻む。
入り口を慣らすべく、花形は指で浅い位置を刺激する。
「はっ……う、ぅ……」
けれども、花形が触る位置よりもっと奥、もっと深いところが変に疼いて、飛雄馬はそのもどかしさに声を上げた。
なぜ、こんなことに?一体、自分の体はどうしてしまったと言うのか。
喘ぐ飛雄馬の唇に花形は口付け、熱く火照った口内へと舌を滑り込ませた。
深い口付けを与えてやりながら、花形は飛雄馬から指を抜くと、自身の穿くスラックスのベルトを緩め、ボタンを外す。
そうして、一度飛雄馬から体を離すと、たった今まで嬲っていた箇所に取り出した己のものを宛てがった。
ぎしっ、とソファーが派手に軋んで、飛雄馬はハッとそこで自分の足元を目に映す。
花形は一度、ニッ、と笑みを浮かべてから飛雄馬のそこに宛てがった男根をゆっくりと挿入していく。
「あっ、く……ふ、ぅ、うっ」
指よりもっと、圧と質量のあるそれが飛雄馬の腹の中を押し進んでくる。
奥へと入り込んでくるに従い、それから逃げるように背中を反らす飛雄馬の足を脇に抱えるようにして花形は更に中を犯していく。
体全体が熱い。汗が滲み出て来る。
「は、ぁ、あっ……」
やり場のない手で、自分の目元を覆い隠し、飛雄馬は腹の中にいる花形の存在に声を上げた。
「ふふ、動くよ……飛雄馬くん」
「動っ……まっ、あ──!」
間髪入れず、花形は引いた腰を飛雄馬の尻へと叩き付ける。
塗布した容器の中身が互いの体温で溶け、擦れ合って、ぐちゅんと音を立てた。 「ひ、っ……これ、これ、は」
まだ比較的、ゆっくりと腰を使いつつ花形は飛雄馬の様子を伺う。
涙に濡れた瞳がしきりに瞬きを繰り返している。
「これが、なに?」
「なに、っ……あ、ぅ、ぅ」
中を掻き回し、花形はクスクスと笑みを溢す。
段々と飛雄馬の腹の中も解れてきたか、花形に絡みつく粘膜は柔らかく熱を持つ。
と、瞬間、花形は鋭く腰を使い始めた。
やっと花形の与えてくる刺激に慣れつつあった飛雄馬であったが、更に奥深くを抉られ、悲鳴に近い声を上げた。
「あっ!だめ、だめだぁ、ぁっ……」
「だめ?ふふふ……嘘はよくないぞ、飛雄馬くん」
「うそ、なんかじゃ、あ……!あ!」
飛雄馬の目の前に火花が散り、頭がぼやける。
花形の与えてくる刺激が妙に気持ちが良くて、このままでは狂ってしまうのではないかという錯覚さえしてしまう。
「っ、やめ……あ、っぐ、ぅ……う」
飛雄馬の声に混じり、微かに廊下の向こうから声がして、花形は身を屈め、組み敷く彼に口付けを与えつつ腰を振る。
「は、ぁっ……ふ、ぅ」
「飛雄馬くん……」
愛おしげに花形は飛雄馬を呼ぶと、彼の腹の中へとそのまま射精する。
自分の腹の中で脈動し、精を吐く花形の存在を感じつつ、飛雄馬はぐったりと脱力し、目を閉じた。
そうして、気が付くと客間には誰もおらず、飛雄馬は慌てて横になっていたソファーから飛び起きると、自分の格好を確認する。
上に膝掛けのようなものは乗せられていたが、脱がされたスラックス等は案の定身につけていない。
そうすると、ああ、あれはやはり、事実だったのだ、と飛雄馬は痛む頭を抱える。
ひとまず、服を着なければとソファーから立ち上がり、下着とスラックスとを穿いてからベルトを締めているところに明子が顔を出し、飛雄馬は驚き、目を丸くした。
「あら、飛雄馬。やっと起きたのね。待ってたわ」
明子の顔がまともに見られず、飛雄馬はやや視線を外しながら、ああと答えた。
もう用意、出来てるからリビングにいらっしゃいと明子は言い、先に客間を出て行く。
飛雄馬は一度、背後を振り返り、何も忘れてはいないことを確認すると彼女の後をついていく。
するとリビングでは既に花形が席についており、何やら食前酒らしきものを嗜んでいた。
「おや、飛雄馬くん。待ちくたびれて寝てしまうとはよほど疲れていたようだね」
「…………」
「飛雄馬!」
応えぬ飛雄馬を明子が叱咤する。
「フフ、なに、そう怒ることはないさ……まだ疲れているんだろう。慣れん姉と兄の家だ。こちらが無理やり連れ出したのだからね」
どの口が、それを言うのかと飛雄馬は歯噛みしたものの、そこにかけたまえと案内された位置へとついた。
花形のこの様子を見ていると、先程のことなど本当に嘘だったのではないかと思えてしまう。
次々にテーブルの上に並べられる料理を見て、飛雄馬は自分の場違いさに唇を引き結ぶ。
楽しげに笑うねえちゃんも、それに応えるように柔らかな笑みを浮かべる花形も、何もかもが嘘に見えてくる。
おれは、ここにいてはいけない。
ねえちゃんのためにも、おれ自身のためにも。
「飛雄馬くん?」
「あ、いや……何でもない」
心配げに名を呼んできた花形に対し、そんな言葉を返しながらいただきますと皆で手を付けた料理だったが、飛雄馬には何の味も感じられなかった。