雨音
雨音 ここ数日は雨が続いており、ぬかるんだ地面を踏み込み、硬球を投げるのは晴天の日の倍以上に労力を食う。
本来なら、雨であれば投球練習などする必要はないし、正気の沙汰ではない、と長屋の皆も口を揃えて言うが、飛雄馬の父・一徹は一日でも練習を怠ると勘が鈍るなどともっともらしいことを言って、飛雄馬を雨の中、練習に駆り出させた。ずぶ濡れの泥まみれになって、飛雄馬は一徹の投げる球を取った。
そうでなくとも、普段から酒をかっくらい赤ら顔をしてくだを巻く一徹を飛雄馬は尊敬しつつも心のどこかで小馬鹿にしていたし、家計をやり繰りし節約に励み、お金が足りないと一徹に隠れて泣く姉・明子がとても可哀想であったし、不憫に思っていた。
一徹が働きに行くのも気まぐれで、一週間ずっと朝から晩まで弁当を持ち出ていったかと思えば、ほとんど働かない日もあった。
今日、飛雄馬が修繕した跡だらけの傘を手に学校から帰宅すると姉の姿はなく、やはり一升瓶片手に欠けたどんぶりに注がれた安酒を煽る一徹の姿が戸を開けてすぐ目に飛び込んできて、飛雄馬はただいま、と小さな声で帰宅したことを告げ、傘を畳むと部屋に上がった。
とうちゃん、今日は仕事に行ったの?ねえちゃんは?と飛雄馬は他愛ない話を振り、雨が降っているにも関わらず明かりもつけず座っている一徹のそばへと手と膝を使いにじり寄る。
と、一徹はどんぶりの中の酒をぐいと一息に飲み干して、座った瞳を飛雄馬へ向けるなり、右手を伸ばし飛雄馬の肉付きのよい左の頬へと触れた。
一徹の四本の指先は飛雄馬の耳をくすぐって、柔らかな髪を撫でたかと思うと、親指の腹が飛雄馬の唇の上を左から右へと一度ゆっくりとなぞる。
そうして、一徹が親指の腹を飛雄馬の唇へと押し付けると、彼はうっすらと口を開け、指の挿入を許した。
微かに酒の味が飛雄馬の舌に触って、その濡れた柔らかな表面を一徹の指が撫で回す。指は頬の内側をくすぐって、上顎の窪みをなぞって、とろとろと飛雄馬の開きっぱなしの口からは唾液が垂れ落ちて、畳に落ち、その首筋をなぞった。
一徹の顔を見上げる飛雄馬の瞳も潤んで、その頬は赤く火照っている。
奥歯の表面を親指の腹が撫で、前歯をなぞって、ようやく口から離れていってくれた。飛雄馬はやっとそこでごくりと唾を飲み込む。
しかして、一徹は飛雄馬の顎に手をかけ、その顔を上向けさせると、たった今まで犯していた唇へと自分のそれを押し当てた。
今度は指ではなく、酒の味を纏った熱い舌が飛雄馬の口内へと押し入ってくる。
その唇を軽く吸い上げてから一徹は口付けを中断し、飛雄馬の顎から首筋へと伝った唾液の跡を舌で丹念に舐め取っていく。
う、あっ!と声を漏らし、天井を仰いだ飛雄馬の体を組み敷くようにして畳の上に一徹は押し倒すと、そのまま首筋へと顔を埋めつつ、彼の着ている上着とその中のシャツの裾へと手を差し入れた。
雨が屋根を激しく叩く音が飛雄馬の耳には入ってくる。
一徹は飛雄馬の下着もろとも着ているものをたくし上げつつ、白い肌を露出させていく。そうして、現れた小さな胸の突起に口付けたかと思うと、それに淡く歯を立てた。
ゆっくり、徐々に顎に力を入れていき、歯軋りをするようにして一徹は飛雄馬の乳首に愛撫を与える。
「あっ…………ん、」
背を仰け反らせ、飛雄馬は体の脇に置いた手で拳を握った。
嬲られる乳首からの快楽が全身に走って、飛雄馬の下腹部もまた熱く熱を帯び始める。
一徹は飛雄馬の乳首を舐め上げつつ、彼の穿くズボンのボタンとファスナーを下ろすなり、開いたそこに右手を差し入れ、下着の上から男根を撫でた。
「いっ、っ──と、うちゃん………」
呼びつつ、飛雄馬は背を反らし、ぎゅうっと足のつま先に力を込める。
下着の上から大きな掌で一徹は飛雄馬の逸物を撫でさすり、白い下着の中、亀頭の鈴口の当たる部分にはじわりと染みが浮かぶ。
一徹が男根を撫でるたびに飛雄馬はぴくん、ぴくんと身を跳ねさせ、切なげに声を漏らした。
一徹は完全に膨れた飛雄馬の乳首から口を離してから、そのまま下着の中に手を入れ撫でていた男根に触れる。
下着の中では先走りを垂らしていたせいでぐちゃぐちゃに濡れており、一徹はせせら笑うように口角を上げた。
それを受け、飛雄馬は羞恥にぎゅっと唇を噛み締め、細めた双眸から涙を頬へと滴らせた。
完全に皮のかぶったままの掌に十分収まる飛雄馬の逸物を一徹はしごいていく。
あああ、っと飛雄馬は喉奥から声を上げ、腰をくねらせた。
飛雄馬の両の乳首はぷっくりと腫れ上がり、じんじんと痛みさえ伴っている。
しごかれる男根からの強烈な快感が飛雄馬の全身を貫いて、開いた口から嬌声を絶え間なく上げ続けさせた。激しい雨のおかげで外には聞こえない。
「いっ、い、っく………いっちゃ、うっ……とうちゃ、あっ!」
とぷとぷっ、と少量の精液を飛雄馬は小さな男根の先から一徹の掌へとほとばしらせる。一徹は飛雄馬から体を離すと、手を拭い、飛雄馬、来なさいと低い声で彼を呼んだ。
はあっ、と飛雄馬は吐息を漏らし、目の前に座った一徹を濡れた瞳で仰ぎ見る。
外では稲光が光り、どこかに落ちたか大きな音がした。
飛雄馬はよろよろとふらつき、覚束ない足取りで立ち上がると、下着とズボンとを脱いで一徹に背を向けるようにしてその足の上に腰掛けようとする。
しかして、一徹はそれを制し、自分で入れてみろ、と一声。
「じ、ぶん………で?」
「こないだ教えたじゃろう……慣らし方も、お前が一番感じる位置も」
一徹の言葉にかあっ、と飛雄馬は耳まで紅潮させ、ごくんと唾を飲み込んだが、そのまま一徹のあぐらをかいた足の上に座って背を彼の腹に預けるような体制を取り、足を左右に膝を立てて広げると、自分の指を己が唾液で濡らしてから体の中心を解しにかかった。
指を一本だけ挿入させ、そこを刺激に慣らし、ゆっくりと出し入れをする。
「はっ…………ん、う、ぅっ」
乾いた指を唾液で再度濡らしてから飛雄馬は二本目の指を腹の中へと忍ばせる。
その感覚があまりに気持ちがよくて、飛雄馬の浮かせていた両足は畳へと落ち、弾みでズズッと体がずり落ちて指が抜け出た。
「たまらんか、飛雄馬」
背後から囁かれ、飛雄馬は小さく頷く。
腹の奥は鈍く疼いて、更なる刺激を求めている。自分の、細く小さな指では到底届き得ぬ位置を思いっきり腹の中から責めぬいてほしい、とまで飛雄馬は思った。
飛雄馬をそういう体に作り上げたのも他ではない、この父だった。
「そこに手をついて、尻を突き出せ」
「………は、い」
再び首をもたげ始めた飛雄馬の男根からたらりと垂れた先走りが四つん這いになったために畳との間に糸を引く。
「ずいぶん容易く指を飲み込むようになったのう」
突き出した飛雄馬の尻の中心に一徹は潤滑剤代わりに傷等に塗る軟膏を指で掬い、塗り込む。
「あ、っ…………ひ、ぅ、うっ」
身を屈め、飛雄馬は項垂れる。額からは汗が滲むのに口内はひどく乾いている。
一徹が背後でボタンを外し、ファスナーを下ろす音が響いて、飛雄馬ははっと顔を上げた。
腰に手を当てられ、先ほどまで触られていた箇所にピタリと熱いものが充てがわれる。飛雄馬は一徹を迎えるためにそこに力を入れ、彼もまた、挿入のために腰を押し付ける。
ぐっ、と男根が飛雄馬の粘膜を押し広げ、奥へ奥へと突き進んでいく。
「っ………は、と、っうちゃ……ん、おっき……っ」
根元まで一徹は飛雄馬の中に逸物を突き入れてから、腹の中を馴染ませることもせず、激しく飛雄馬の尻へと腰を打ち付け始めた。腹の奥をがつがつと一徹の亀頭が叩いて、飛雄馬は彼を締め付ける。
「あっ、あぁ、あっ」
飛雄馬の全身から汗が吹き出した。
畳に顔を押し付け、飛雄馬はめちゃくちゃに腹の中を嬲られ声を上げる。
頭の中が真っ白になって、先走りが突かれるたびに畳に染みを作った。
「とんだスキモノに育ったもんじゃのう、飛雄馬」
「はっ、ち、が………っ、う」
「何が違う……父に突かれ、腰を揺らし喘ぐお前の何が違うというのか」
白い飛雄馬の尻に爪を立てつつ一徹は言う。
「は、ぁあっ………っ、あ」
「飛雄馬、行くぞ。出すぞ」
言って、一徹は飛雄馬の腹の中に欲を果たすと、ぬるっとそこから逸物を抜く。
その際、一徹が放出したものが掻き出され、尻から腿にかけてを伝った。
ひくひくと四つん這いのまま震える飛雄馬を抱き上げ、一徹は再びあぐらをかいた足の上に抱えると足を広げさせ、半立ちのままの彼の男根に手を添えた。
「い、っ………と、うちゃん、おれっ」
小さな飛雄馬の逸物を人差し指と中指、親指の三本で一徹はちゅくちゅくとしごき上げる。目を閉じ、飛雄馬は呻き声を上げながら父の無遠慮な愛撫にただただ酔った。
と、一徹は片方の手では飛雄馬の男根をしごきつつ、もう一方の手でたくし上げた服の裾から彼の胸を撫で始める。指先で淡い色をした突起の上をさすっていたかと思うと、ふいにそれを二本の指で抓み上げ、指の腹同士で押しつぶす。
「あっ、ああっ…………」
瞳からぽろぽろと涙を滴らせて、飛雄馬は父の手の中へと再び精を吐いた。
捏ね上げられる乳首の刺激と脈動しながら白濁を放つ男根の余韻に浸りつつ、飛雄馬は小さな肩を上下させる。
すると、開いたままで荒い呼吸を繰り返す飛雄馬の唇を割って、一徹の指が背後から彼の口内へと滑り込んだ。
「っぅ………ふ、あ……」
舌の上に己が体液が乗せられ、唾液と混ざる。ひとしきり一徹は飛雄馬の口内を指でいじると、つうっとそれを引き抜く。
一徹の腹に背を預け、ぐったりと放心状態のまま飛雄馬は外では未だ激しく降り続く雨の音を聞いていた。